Dental Clinic Lovers〜君は初恋を超えた運命の花嫁〜
部長に何か今日のお礼をしたい。

「あのっ、氷上部長。もしご迷惑でなければ、今日のお礼に一緒に食事に行きませんか!?」

一瞬の間に色々と考えた結果、私はなぜか血迷ったことを口走ってしまった。

「えっ……」

心底驚いた様子の部長を見て、私は自分が誤解を生む発言をしたことに気がついた。

これでは親切心に便乗してデートに誘う機会を狙っていたと思われても仕方がない。

「ちちち違うんです! そういう意味じゃなくて、さっき当たったお食事券でお礼をしたいという意味なんです。なんなら券を丸ごと差し上げますから!」

私はそんなことは狙っていない。違うものは違うのだ。そこははっきりさせなければ……私は必死で説明をした。

「フッ……大丈夫、君の真意はわかっているよ。本当に君は面白い子だね」

突然部長は愉快そうに笑い出した。

「君が構わないなら、俺は喜んで受けるよ」

そして微笑みながら私の提案を受け入れたのだった。
 
「驚いてすまなかった。まさか君からそんな提案をしてもらえるとは思ってもいなかったから」

部長の言葉が意味するのは、私が自分から男性を食事に誘えるタイプには見えないということだろう。

だけど、もしかしたら……優一郎先生以外の男性には興味を持てないことを知っているからかもしれない。
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