Dental Clinic Lovers〜君は初恋を超えた運命の花嫁〜

3話 優一郎先生と雪夜先生

月曜日の朝、出社すると約束通り私のデスクの座席に紙袋が2つ置かれていた。

すでに出社しているのは私と氷上部長だけ。小声で「ありがとうございます」と囁くと、部長は何てことないような顔で頷いていた。

午後になった部内で「ちょっと早いですが、今年もお世話になりました」と言って回りながらお菓子を配ると、

「そんなに気を遣わなくていいのに〜」

皆はそう言ってくれたけれど、「やっぱり配って良かった」と思える確かな手応えを感じていた。

「おいおい、ポイント稼ぎとはやるじゃないか、若海ぃ。さすが営業だと褒めてやるよ」

隣の席で柿澤が憎まれ口を叩いてくる。その上ちゃっかりと甘いのもしょっぱいのも手にしていた。

「ちょうど1個余ってたんだからいーじゃん」

本当にずうずうしいやつ……先に部長に2つ渡しておいて良かった。


◇◇◇◇◇

そしてあっという間に週末になり、来週はもう仕事納めだった。私は師走が過ぎる早さを実感していた。

この一週間ずっと緊張状態が続いていた。

お礼をしたいからとは言え、どうして自分から氷上部長をデートに誘うような真似をしてしまったんだろう。私は己の所業を悔やんでいた。
 
約束の時間になると、氷上部長はタクシーで私のマンションまで迎えに来てくれた。
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